ゴモラ

2008年 イタリア
カラー/137分
監督:マッテオ・ガッローネ
出演:トニ・セルヴィッロ、ジャンフェリーチェ・インパラート他
公式サイト: http://www.eiganokuni.com/gomorra/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt0929425/
 
第七藝術劇場
 
犯罪組織ととともに生活するということについて。告発とか断罪とは少し違う目線。
カモッラの息のかかった服飾工場で働いていたが、中国人の工場でオートクチュールの技術を指導したせいで報復されてしまう仕立屋パスクワーレ。このエピソードだけでもうこの映画観て良かったと思う。
産廃処理会社の社長の台詞「これもヨーロッパだ」。
体面を保つことへのこだわり。組織に楯突くギャング気どりの若者を殺すのにも、抗争に巻き込まれたことにするために周到な用意をする。敵対するグループのどちら側につくか、実際には選択権などないのに「選ぶのはお前だ」という言い方をとる。「敵に回るか味方につくか、お前が選べ。ただし前者ならこの場で殺す」
ドライで突き放した撮り方のなかで、ごく限られたいくつかのシーンの哀切さが際立つ。(仕立屋を続けられなくなりトラックの運転手に転職したパスクワーレが、自分の作ったドレスを着た女優をテレビで観たときに浮かべる微笑。道端に棄てた桃を見下ろすロベルトの暗澹とした表情。)
超巨大団地、やばい。ロケ地の選び方と撮り方のセンスが好き。
サウンドトラックもやばい。エンディング曲がMassive Attackとか…。
ドン・チーロを演じたジャンフェリーチェ・インパラートがすてき。オノ・ナツメの作品に出てきそうなイタリア人。
 
どうでもいいけど、カモッラから融資を受けている老人が「こんな額じゃ暮らしていけない、40歳の息子をどうやって養えばいいんだ」というシーンで一瞬「息子、引きこもりのニートなのか……」と思ってしまった自分はたぶん日本のWebの空気に毒されてる。
 
経済的にぐずぐずになっているイタリアの地で、いまかれらはどうしているんだろう。