花とアリス

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蒼井優かあわいいなあー。いいなー、さらさらの黒髪。いいなー。

■片想いの相手である宮本が、シャッターに頭をぶつけて気絶したところに出くわした花。意識を取り戻した彼に、とっさに「先輩は私のことを好きで、私と付き合っていたんですよ、思い出せないんですか?」と嘘の話をし、記憶喪失だと思い込ませてしまう。そうやってむりやり宮本の彼女になるが、つじつまを合わせるのがたいへん。同級生の有栖川徹子(通称アリス)を宮本のモトカノに仕立て上げたり、嘘に嘘を塗り重ねるうちに、宮本がアリスに心を惹かれはじめてしまい…。

■うーんあらすじってなんでこんなに書きにくいんだろう。

■ストーリーはかなり漫画的だけれど、女の子達のおしゃべりや、彼女らのまとう空気はホームビデオのような風合いでとても自然に撮ってあって、ケレン味を中和していたように思う。映像がほんとうに綺麗。
冒頭とラストに、花とアリスがじゃれあいながら登校する風景が入るのだけれど、最初はただ「少女存在」だった二人が、最後のシーンでは「花と、アリス」という個別性を持っていた。
同じキャラクタの、同じようなシーンでも、全く別のものに見える。話が進むにつれ、見る人が二人に親しくなる、二人の成長を垣間見る、そういう構造になっているのか。

■花は自分の恋を(いびつな形でも)成就させるために、宮本に惚れられた娘を、彼氏が記憶喪失になってしまって戸惑う娘を「演じる」。芸能事務所に所属し、あちこちのオーディションをうけてもちっともぱっとしないアリスは、しかし、花から要請されて宮本の元カノを見事に「演じる」。それら演技のうちには本心がかなり切実に混じ合っている。現実と虚構のあわいに流れる奇妙な時間を、少女たちは生きる。